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2020/01/31

相手良し、自分良し、世間良し

 私は大学までは理系、いわゆる研究職だ。なぜ理系に進学したかというと、学問としては理科が好きだから。将来は医者になり人の命を守りたいとか、ロケット事業に参画して宇宙の謎を解き明かしたいなどという夢を抱いたことは勿論あるが、どうもしっくり来なかった。
 大学で物理化学を専攻していた頃、とても興味深い研究をしていたが、このブログを読まれる方に「5クロロ1Hベンゾトリアゾール熱分解生成物のマイクロ波スペクトルによる分解過程の考察」などと書いても、何の事かさっぱり解らないと思う。私自身、既によく解らない。(笑)


 メーカーやら化学系企業などを就職活動している時に、ふと気付いた。
 元々、私は人付き合いが好きで何か自分が動く事でそれが相手の役に立ち、それが自分にも返ってくるというサイクルが好き。つまり研究室に籠るのではなく、外へ出て商売がしたいんだと。理科は学問としては好きだけど、別にそれを無理矢理仕事にしなくても良いということだ。そんな程度の志望動機しかなかったが、念願かなって都市銀行の法人営業部門に就職することができた。


 入行直後は持っている専門知識は量子力学や有機化学などで、財務会計論、所得税、民法や商法(現在の会社法)などは初めて見るもので、現場に出るまではどうしようかと心配したが、何とかなるものだ。
 それ以来、お客様の状況を目の当たりにしながら、何をすべきか考え、勉強して、どうやったら銀行員としてお客様に喜んでいただけるか、とにかくがむしゃらに外へ出てお客様と話し込んだ。お客様のために頑張れば、お客様の会社が色んな意味で改善され成長する。そうなると銀行のビジネスチャンスも自然に出てくる。その循環がとても心地よかったものだ。


 give and takeという単語の意味は誰でも知っているが、お取引先の「取引」も英語に訳すと「give and take」になる。商売はワンサイドゲームでは先に拡がらない。目先のノルマが達成できても、そのようなスタンスでは永く厚い取引は期待できない。お客様も、そのような相手にはその場限りの取引しか求めなくなる。悪循環だ。


 このことは別に銀行の営業だけでなく、全ての業種の営業・接客業に当てはまる。
 なので、今の会社に移ってからも自分自身のスタンスは全く変わらない。相手のお客様が何を求めて、何が不安なのか、それに真摯に応えていけばお客様との関係はより深く厚いお取引となり、そこから新たな人脈も拡がっていく。この時大切なのは、先ずはお客様の求めておられることにプロ意識をもって応え、お客様に満足していただく事を心がける。それだけの事だが、それをキチンとやっていれば、必ず自分の商売に還ってくる。
 間もなく社会人となり35年が経つが、自分の営業スタンスは一貫してきたので、素晴らしい人脈が出来て、今もそれは拡がりを続けている。


 研究職を選ばず営業職として商売の世界で人・物・金の流れを学びながら、三方良し(これは近江商人だけに当てはまる事ではないと思う)という商売の素晴らしい考え方に接することが出来たのは、とてもありがたいことだ。


 先日、自分が顧客として取引に参加した時に、相手の方が「業者へのメンツがあるから早く決めてくれ」とか「上司に怒られるから…」と、まあまあ、よい歳をした(多分)熟練の営業の方にまくしたてられた。勿論、買主であっても売主に迷惑はかけられないが、それとは違う。業者のメンツを潰さぬよう、上司に怒られないよう段取りをするのが営業の大事な仕事でもある。


取引相手が満足のいくよう、納得のいくように事前に仕入れ業者、外注先、上司を含めた社内を整え、それでも急がねばならぬ事情があるなら、それをキチンと相手が理解できるように説明する。相手もそれが合理的と納得すれば応じるものだ。なんでもそうだが、お互いが相手の立場に立って物事を考え行動すれば、自分も相手も満足でき、ひいては世間も良くなるものだ。
 相手良し、自分良し、世間良しだ。


 余談になるが、このことは去年から社会問題になっている「煽り運転」にも当てはまるのではないか?勿論、交通法規を守らず、更には相手に恐怖を与えるような煽り運転は間違いなくいけないことだし、無くさねばならないことだ。でも、一方的に煽り運転をする者だけを取り締まれば、それが撲滅されるとも思えない。


 これも先日の事だが、高速道路で走行車線を走行していたら、路肩に停車していた車が強引に走行車線に進入してきて(強引に入って来そうな気配を感じたので減速していて)追突は回避したが、かなり車間が詰まり危ない思いをした。あれだけ車間が詰まると、傍から見たら私が車間を詰めて煽っているようにも見えてしまう。全てのドライバーが、それぞれのドライバーを意識して危険な運転にならない為にはどうするかを考えれば、煽りも事故も減ることになり、皆が安全に運転できることになるのではないだろうか。


板谷